オーケストレーター活用ガイド
〜「AIの指揮者」を使いこなし、複雑な業務を自動化する〜
オーケストレーターとは「指揮者」のことです。
つまり、AIオーケストレーターは、ユーザーが定義した「オーケストレーター」が、複数の「AIエージェント」に指示を出し、チームで自律的に仕事を進める機能です。 単なるチャットボットではありません。「優秀なプロジェクトマネージャー」を一人雇うような感覚で設定するのが、成功の鍵となります。
1. 設定のコツ:優秀なオーケストレーターを作る3つのポイント
オーケストレーター作成画面の各項目について、設定テクニックを解説します。
① オーケストレーション指示(最重要)
ここは最終的な成果物を頼む場所ではありません。ユーザーに代わってチームを動かす「オーケストレーターの振る舞い(進行手順)」を記述する場所です。以下のように考えます。
Bad例 : 作業者扱いする
「ブログ記事を書いてください。」
これでは複数の専門エージェントを使うメリットが活かせません。
Good例 : PM視点で役割を与える
品質や流れをあなたがコントロールしたい場合に推奨されます。あなたが「進行手順」を決め、オーケストレーターにその通りに実行させます。
- まず【SEOリサーチャー】に、指定キーワードのトレンドを調査させてください。
- 次に、その調査結果を【ライター】に渡し、構成案と本文を作成させてください。
- 最後にあなたが記事全体をチェックし、トンマナを統一して出力してください。」
「2.成果物の出し方」でいくつかの例を解説します。
② AIエージェント設定:3つのエージェントタイプを使いこなす
ここで選択するエージェントは、オーケストレーター(指揮者)の指示を受けて動く「チームメンバー(部下)」となります。 Maison AIが持つ3タイプのエージェントを適材適所で組み合わせることで、チームのパフォーマンスが劇的に向上します。
| エージェントタイプ | 特徴と役割 | オーケストレーターでの活用メリット |
|---|---|---|
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🤖 AIエージェントPRO (プリセット済み) |
【即戦力のプロ】「人事」「広報」「翻訳」など、Maison AIで予め設定している100種類以上の職種のAIエージェントです。(編集不可) | 設定不要ですぐに使えます。一般的なビジネス業務(調査、翻訳、コード生成など)の足回りはこのエージェントに任せるのが基本です。 |
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🛠️ カスタムエージェント (自社専用) |
【自社の専門職】汎用的なPROでは対応できない、「自社らしいアウトプット」を作らせたい場合に必須です。(例:自社ブログ専用ライター、社内ブランドディレクター) | 自社のブランドトーン、特定のフォーマット、業務ルールを学習させたエージェントです。 |
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👥 AIクローン (人物模倣) |
【バーチャルな意思決定者】業務の実行よりも、「判断・レビュー・壁打ち」で真価を発揮します。「あの人ならどう考えるか?」をシミュレーションする際に配置します。 | 特定の個人(社長、部長、トップセールス)の思考や知識を再現したエージェントです。 |
▼AIクローンご利用ガイド
https://maisonai.io/blogs/guidebook/ai-clone
💡 おすすめのチーム編成:ハイブリッド型 「作業」はAIエージェントPROに任せてスピードを稼ぎ、「仕上げ」はカスタムで自社色に染め、「最終チェック」はクローンで行う。この流れが最も効率的です。
③デフォルト選択モデル
使用するAIモデルは、設定画面であらかじめ選択します。チャット画面では切り替えができないため、事前に設定画面から指定してください。
④オーケストレーション指示回数
オーケストレーターとエージェントのやり取りの「ターン数(往復回数)」の上限を設定します。 これはタスクの規模に合わせるだけでなく、議論が堂々巡りになったり、エージェント同士が会話を止めなくなったりする「無限ループ」を防止するための安全装置でもあります。
- 3〜5回: シンプルな「作成→レビュー」の流れ。クレジット消費を抑えたい場合もここを目安にします。
- 10回以上: 複雑な議論や、修正を何度も繰り返す品質重視のタスク向けです。
⑤公開範囲
利用範囲に合わせて「チーム」または「プライベート」を選択します。
チームへ共有する場合の注意
オーケストレーターを「チーム」に公開する場合、そこに組み込まれているAIエージェントもすべて「チーム」公開に設定する必要があります。(プライベート設定のエージェントが含まれていると、チームへの公開はできません)
設定例
カスタムエージェント(ブランドディレクター)と、エージェントPROを組み合わせることでそのブランドに特化した企画案を多角的な視点で策定することができます。

2. 成果物の出し方:3つの戦略
「誰が最終的な文章を書くか」によって、仕上がりの質や個性が変わります。目的に合わせて使い分けましょう。
Level 1:リーダー統合型(Standard)
【基本】専門家たちの異なる視点を、指揮者が最適解にまとめる
最もスタンダードな使い方です。各エージェントから情報を集め、最後にオーケストレーター自身が内容を統合・要約します。
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おすすめシーン:
- 新規事業の総合ロードマップ策定(競合分析×戦略立案×具体的実行計画の統合)
- 企画書の多角的レビュー(法務×マーケ×技術の視点統合)
- 複数ターゲット層の反応シミュレーション(Z世代×シニア層の意見比較)
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メリット: 文体が統一され、読みやすいレポートになります。
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指示のコツ: 「各エージェントの回答を踏まえて、最後はあなたが情報を統合し、レポートにまとめてください。」

Level 2:専門家バトンタッチ型(Advanced)
【応用】場を整えて、特定の専門家に書かせる
オーケストレーターは進行管理に徹し、最後のアウトプット作成は「最も尖ったスキルを持つエージェント」に任せるスタイルです。
- おすすめシーン: 関西弁などキャラの濃いSNS投稿、特定の専門用語が必要な技術文書、ファッション感度の高い商品説明文
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メリット: カスタムエージェントが持つ独自の「個性(口調や文体)」や「専門性」を、オーケストレーターが丸めてしまうことなく、そのまま出力できます。
- 指示のコツ: 「情報の整理ができたら、最終的な作成は【エッセイスト】にバトンタッチしてください。エージェントの出力内容を要約せずそのまま最終成果物としてください。」

Level 3:自律チーム型(Expert)
【発展】ゴールだけ伝えて、チームで議論させる
手順を細かく指定せず、「目的」だけを伝えて、あとはAIチームに議論させるスタイルです。オーケストレーターが状況に応じて誰に話を振るか即興で判断します。
- おすすめシーン: 解決策が見えない課題のブレインストーミング、新しい企画のアイデア出し、多角的な視点が必要な戦略立案
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メリット: ユーザー自身も解決策のステップがわからないような「難問」や「新しいアイデア出し」に最適です。
- 指示のコツ: 「あなたはファシリテーターです。ユーザーの課題解決のために、参加しているエージェントの能力を自由に活用して議論を深めてください。進行手順はあなたに任せます。」

3. 【実践編】本番で失敗しないための「会議シミュレーター AI根回し」活用術
Level 3(自律チーム型)の応用として、AIクローンを使った「事前の根回し(会議シミュレーション)」をご提案します。 企画書の「甘い部分」や「突っ込まれそうな点」をあらかじめAIに洗い出させ、本番の決裁をスムーズに勝ち取りましょう。
Step 1:根回し相手(ステークホルダー)を再現する
まず、会議で説得しなければならないキーマンを「カスタムエージェント(AIクローン)」として用意します。ここでのコツは、システムプロンプトに実在する社員の思考や性格を反映させ、あえて厳しい性格」に設定することです。
設定例:
- AI 法務部長 (田中さん風AIクローン): 「リスク管理を徹底。些細な規約違反も見逃さない。」
- AI 財務担当 (佐藤さん風AIクローン): 「コスト意識が高い。ROI(費用対効果)が不明確な企画は即却下する。」
- AI 現場マネージャー (鈴木さん風AIクローン): 「現場の負担を一番に考える。」
Step 2:オーケストレーターに「模擬会議」を依頼する
オーケストレーターには、これらの気難しいエージェントたちを取り仕切る「司会進行役」を任せます。
【オーケストレーション指示のテンプレート】
あなたは社内会議のファシリテーターです。 提出された「新規プロジェクト案」「企画書」について、以下の3名のステークホルダー(カスタムエージェント:AIクローン)に忖度のない厳しい議論を行わせてください。
【目的】
この企画書を「誰からも文句が出ない完璧な状態」にすること。【進行手順】
3名のエージェントで自由に議論してください。【最終成果物】 全員の指摘が出揃ったら、それらの懸念を払拭するための「想定問答集(Q&A)」と、「企画書の修正アドバイス」をあなたがまとめて提示してください。
Step 3:図解「AI根回し」のフロー

Step 4:御社だけの「バーチャル会議室」へ
Maison AIで作成するチームは、単なる「法務役」や「営業役」ではありません。
カスタムエージェントの応用でAIクローンを作成し、特定の社員の思考の癖や判断基準(「〇〇部長ならこう言う」)を学習させることで、御社の組織図をそのまま仮想空間に再現(デジタルツイン化)することができます。
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汎用的なAIとの違い:
- 一般的なAI:教科書通りの「正論」しか返ってこない。
- 御社のAIチーム: 「ウチの会社ではそのやり方は通らない」「社長はこのポイントを気にする」といった、社内事情(文脈)を踏まえたリアルなシミュレーションが可能です。
導入効果:なぜ「AI根回し」が必要なのか?
- 心理的安全性の確保: いきなり本番で批判される前に、AI相手に何度でも壁打ちができます。いつでも招集できて、文句も言わず、何度でも付き合ってくれる相棒となります。
- 死角の発見: 自分一人では気づけなかった「法務リスク」や「現場の負担」を事前に可視化できます。
- 意思決定のスピードアップ: 反対意見へのカウンターを用意して本番に臨めるため、会議がスムーズに進行します。
この機能は、単なる業務効率化だけでなく、若手社員の「企画力トレーニング」や「視座を高める(部長の視点を持つ)練習」としても非常に有効です。

MaisonAIで、あなただけの最強の「チーム」を結成しましょう。
