スタイリストコース学生たちの “ リアルな ” 生成AI活用
- 撮影からアイテム作成、スタイリングまで -
文化服装学院 ファッション流通専門課程 ファッション流通科 は、生成AIを取り入れた授業を積極的に行っています。今回インタビューを行った3名は同コースで“ファッション”について学んでおり、その学生たちが生成AIを授業で教わったあと、直接的な生成AIの授業以外で “自主的に”どのように活用しているかの事例をご紹介します!ひとことで“生成AI”といっても様々な活用方法があり、また難しいと感じている点なども聞きました。
インタビュー後半では、同校で実際に生成AIを授業に取りいれている、スタイリストコースの木本先生から教員目線での手応えなどもお伺いしています。学生たちによる具体的な活用事例から、木本先生が授業を通して感じた手応えや展望までをインタビューを通してご覧ください。
June 24, 2024
● “自分の考えを整理する”、学生たちのリアルな生成AI活用方法
● イメージの具体化から日本語の構成まで、広がる生成AI
● 早い段階で生成AIを授業に取り入れることが大事
● 生成AIに全てをやってもらうのは違うけど、こんなやり方もあると浸透させることは大事
● “自分の考えを整理する” 学生たちのリアルな生成AI活用方法
初めて“生成AI”でデザインを生成してみてどうでしたか?
3人それぞれどんな過程で生成AIを活用したんですか?
すごく楽しかった!
私はファッションスタイリングの授業で使いました。スタイリングのテーマを決めたときに、自分が考えたイメージで生成AIを使って画像を生成したらどんなふうになるんだろうと思って。良いものが生成できたらイメージに取り入れようかな、と思って使いました。
ファッションスタイリングの授業で、自分が決めたテーマは雪月花(せつげつか)です。雪と月と花。どんな風景で撮るのがいいかな、どんなコーディネートがいいかな、とか 画像生成したものも参考にしながら作品をつくりました。
僕はプライベートで生成AIを使っています。カメラでスタイリングを撮影するのが大好きなので、撮影イメージの参考として画像を生成しました。画像生成するときは、自分の好きな映画やキャラクターの服装、スタイリングなどがインスピレーションのもとになっています。
あとは自分の考えを整理するために、生成AIを使ったりもしていますね。
僕は「既存アイテムをアップサイクルして作品を作りましょう!」というテーマの課題作品をつくるのに使いました。「パッチワーク」というキーワードで画像生成AIを使い、それをもとに作品を仕上げていきました。日本のブランドの要素も参考にしながら、日本風(和装)のパッチワークのデニムスタイル作品を仕上げました。
● イメージの具体化から日本語の構成まで、広がる生成AI
実際に使ってみて感じたメリットや苦労した点などはありましたか?
生成AIを使ってみて、イメージの幅が広がりました。自分が思っていたイメージに関してこういう表現もあるのかぁ、と。
ワード(プロンプト)を入れたら画像を作ってくれるので、自分の頭の中のイメージが具体的になる、というのもあります。
生成AIを使ってみて、良いところはたくさんありました。
例えば撮影する場所とかスタイリング、どんな写真が撮りたいか、などのイメージが具体的になる。
なるほど、逆に苦労したことはありますか?
プロンプトを入れても、自分のイメージしたものがなかなか出ないときがありますね。画像だけじゃなくて、動画をつくる機能も欲しいな、と思います。なかなかイメージした画像が出ないのは大変だったけど、外国人の視点として文章構成のサポートに生成AIを使ったりもしました。日本語の文法はすごく難しいから。
私は、あまり語彙力がないので、出したいイメージの言葉(プロンプト)が思いつかなくて。。繰り返し生成しないと自分のイメージ通りにならないというのが大変でした。
僕も時々日本語を翻訳してもらうために使ったりします。今の生成AIはGoogleの翻訳機能より使いやすいですよ!
● 早い段階で生成AIを授業に取り入れることが大事
ここからは実際にご自身が担当する授業でも生成AIを取り入れた、スタイリストコースの担当教師の木本先生にお話を伺ってみたいと思います。
生成AIの活用を通して、何か手応えなど感じていることはありますか?
早い段階で生成AIを授業に取り入れることが大事だな、と。生成AIの存在を知ることで「こういうことできるんだ!」という学びになると同時に、今後の学生生活でも色んな場面で活用できますよね。
今回は学生たちが自発的に生成AIを使いましたが、今後は「生成AIを使って作品を仕上げましょう」といった課題も授業の中に取り入れられないかな、と考えています。
● 生成AIに全てをやってもらうのは違うけど、こんなやり方もあると浸透させることは大事
「どうやって(生成AIを)学生たちに浸透させるのか」についてはどうお考えですか?
「生成AIを使って作品を仕上げましょう」といったことを積極的に教える側から言っていくべきだと思います。授業に取り入れていくイメージですね。課題のように“限られた時間の中でこれに取り組んでください”という形にしないと、学生たちはやらないことも多い。「生成AIを使ってみたらいいんじゃない?」だとまだ弱いんですよね。私たちが学生たちが生成AIの可能性を感じるようなカリキュラムを作っていかないと、と思っています。
スタイリストコースとして今後こんな形で生成AIを活用していきたい、などの展望はありますか?
私が教えているスタイリストコースでは、発想力の部分でAIを活用していきたいと考えています。生成AIは「こんなイメージの切り口もあるんだよ」と、自分ひとりじゃ思いつかないようなものを教えてくれたりするじゃないですか。イメージを広げるという意味でも、最初の段階で活用するのはすごくいいのかな、と。
色んなアイデアがあれば、学生たちも「こんなのがあるんだ」「こっちで挑戦してみようかな」というように視野が広がって幅広く考えられるようになる。AIに全てをやってもらうのは違うと思うので、主にアイデア出しの部分で活用していきたいですね。
Interviewee
文化服装学院 ファッション流通専門課程 ファッション流通科 スタイリストコースの担当教員と学生3名。同コースでは、ファッションスタイリング、ヘアメイク、カメラ、服作りなどの専門知識を学ぶ。
Interviewer
文化服装学院スタイリストコース担当教師
木本 晴美 さん
学校法人文化学園文化服装学院専任教授。1986年より学校法人文化学園文化服装学院勤務。専門領域は「ファッションコーディネート」と「ファッションスタイリング」
Interviewer
文化服装学院スタイリストコース 2年生
井上 真夏 さん
スタイリングした人の個性を輝かせられるようなスタイリストになりたい
Interviewer
文化服装学院スタイリストコース 2年生
テン ホウファ さん
タトゥースタジオで弟子として和彫の刺青を勉強しており、イギリス(母国)を中心に、国際的な彫り師を目指している
Interviewer
文化服装学院スタイリストコース 2年生
リュウ タクコウ さん
ファッションフォトグラファーになりたいという夢にむかっています
Interviewer
Interviewer
OpenFashion PMO
遠藤 未樹
OpenFashion / PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)文化服装学院在学中からスタイリストアシスタントとして活動。その後、某企業でE-commerce部門に勤務し、フルフィルメント全般の業務を担当。前職ではITソリューション企業でスタートアップ支援に携わる。現在は株式会社ワールドと生成AI関連の新規事業開発を担当し、生成AI導入支援サービス「MaisonAI」の導入サポートも行っている。